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July 2372013

 蟻の列吸はるるやうに穴の中

                           柿本麗子

は仲間の匂いをたどることで巣へ戻ることができるという。炎天下の一団が与えるイメージは、ルールを守り、ひたすら働き続け一生を終えるような、悲壮感にあふれる。くわえて、その身体の小ささと、漆黒であることも、切なさを倍増させているように思える。点は破線となり、密集し直線となって、巣穴へと続く。掲句の中七「吸はるるやうに」によって、蟻の列のゴールは得体の知れないおそろしげな暗黒の地底となった。童謡「おつかいありさん」とは対極にある蟻の素顔を見てしまったような気持ちにとらわれる。またこのたびあらたに、道を見失った蟻の列はDeath Spairalと呼ばれる弧をひたすら描くことや、働き蟻がすべてメスだということを知った。調べるほどにやるせなさは増すばかりである。『千の祈り』(2013)所収。(土肥あき子)




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